Ski Racing

接触角度70度理論
接触角度70度理論 Ted Ligety

[ はじめに ]

アルペンスキー競技者、
関係者及びレースに
関心をお持ちの方々へ
Ski racing により
心と体、そして生活が
豊かになります。
楽しみながら滑れる、
もっと親しみやすい
Ski にします。
スピードを出して滑るのも
こんなにシンプルです。
情報・知識・イメージ・
最新のトレーニング方法と
デジタル・デバイスを
活用しましょう。
才能と情熱を発揮出来ます。

第1章 [ 基本 ]

1-1 目

1-1-1 深視力

重要な通過ポイントの情報(立体感や遠近感)を
正しく見ます。
デジタルデバイス(iPhoneなど)を使って滑走スピードと
各自の全身の反応時間を計測して計算すると、
何メートル以上先を見て滑るのが良いか分かります。
例えば、GS競技の場合
滑走スピード20m/s (72km/h) × 反応時間0.35s = 7m
7m以上先の状況には視覚情報に反応して
対応出来ます。

1-1-2 動体視力

自分が動いている為、相対的に動体視力が
重要になります。
流れ来る状況を正確に見て確認します。

1-1-3 中心視力・中心外視力

一点を集中して見ながらも、周辺の状況を見ます。
最重要ポイントを見ながらも、滑走先のライン周辺の
状況を正確に見て確認します。

1-1-4 総合視力

各視力は技術系から高速系種目全てにおいて
重要になり、トレーニングで能力UPする事が
可能です。

1-2 足さばき

第5~1指+子指球~拇指球に流動的に荷重します。
荷重、加重、踏み蹴り、衝撃吸収、バランス保持、
スキーの角付保持に適しています。
足先はスキー板の幅より広い為にインサイド、
アウトサイド各エッジの真上からの
荷重が可能になります。

1-3 バランス

頭を直立して安定させます。
脳と三半規管を正しく機能させます。
体の重心を考察します。

1-4 リズム

アナログリズムは運動力学上、スピードは加速します。
デジタルリズムは運動力学上、スピードは減速します。

1-5 形

2013 世界選手権GS 優勝
2013 世界選手権GS Ted 優勝

直滑降姿勢
クローチング フォーム
プルーク姿勢
外向外傾姿勢
アルペン滑降姿勢
プルーク姿勢から外向外傾の角度
を求めます。
ターン時の外向角度は変化します。

第2章 [ 技術 ]

2-1 ターン優先技術

2013 世界選手権シュラドミングGS Ted 優勝
2013 世界選手権シュラドミングGS Ted 優勝

深い弧のポールセットが大半を占める昨今の
レース事情があります。
何よりも曲がり切る事を最優先とする技術です。

2-1-1 荷重配分

第5~1指+子指球~拇指球に流動的に荷重します。

2-2 スピード加速減速技術

スタート後加速する数ターンにおいて使用します。
スピードを加速する余裕がある状況で使用します。
ブレーキをかけて減速する状況で使用します。

2-2-1 荷重配分

足全長の中央部、 土踏まず周辺、 踝の下、踵、
各部に荷重感覚を集中させて目的により使い分けます。
スピード加速減速技術に適しています。
踵荷重は力積の撃力を発生させて減速する技術に
使います。

2-2-2 パラメータ励震の活用。

2-3 ポール通過ライン

2015.10 ゼルデン Ted 優勝
2015.10 ゼルデン Ted 優勝
2-3-1 ターン優先ライン

前半〜後半へ徐々にターン半径を大きくします。

滑走スピードとコースの斜度変化を考慮して、
結果として生じる力の作用を一定化します。

2-3-2 スピード加速優先ライン

ボックス系ライン
最大傾斜線にそうラインを長くして加速します。

2-4 ポール通過ライン上 でのターン終了ポイント

2-4-1 ターン優先ポイント
2-4-2 スピード加速優先ポイント

第3章 [トレーニング ]

{ 情報・知識・イメージ }

{ 頭分かる 体出来る 心決める }

{ スピード(速度) & ボディ(筋群)の切れ味 UP}

3-1 脳

情報を深く理解して同意し、知識とします。
知識とメンターのイメージと成功体験を活用して
頭(脳)の中に、 達成したい自分自身のイメージを
強く思い描きます。
自分自身が動いているイメージが、何時でも
思い描けるまで繰り返します。
脳はそのイメージを記憶します。
繰り返し思い描くと、記憶が再固定化され
イメージを何時でも活用出来ます。
イメージ通りに体は動く事が出来ると、
心を決めます。

3-2 直滑トレーニング バーンを使用します。

スピード感覚を磨きます。
各種目用のスキー板を使用、
デジタルデバイス( iPhoneなど)を
使ってスピードを計測します。
SL系60km/h< GS系80km/h<
SGS系110km/h< DH系130km/h<
KL系200km/h<

Speed Box アプリ
Speed Box アプリ

 

3-3 ターン

iPad、GoProなどを使って滑りを撮影します。
直後に画像と映像を見る事により、
イメージとの整合性を確認して調整します。
デジタルデバイス( iPhoneなど)を使ってスピードを
計測記録、或いはタイムリーに確認します。
ターンの各位置のスピードを知る事により、
タクティクスの整合性を 確認して調整します。

3-4 ブレーキ

ブレーキング
ブレーキング

レース中ブレーキが必要な場面が
必ず有ります。
斜度変化が大きい箇所と
ターン侵入速度が早すぎオーバーラン
する可能性があると判断した時です。
ターンに入る時にフォームを変化させずに
ブレーキをかける技法です。
スキーをスライドさせてブレーキをかけます。
スキーをスライドさせずに踵を使い撃力を
発生させてブレーキをかけます。
双方の技法をバランス良く使い、最短距離で
適正なスピードに合わせられる様にします。

3-5 アイスバーン

エッジの刃先に心を集中して、
引き切り 押し切りをします。
力点は各エッジ上の足先です。
バランスと作用点はエッジの刃先上です。

3-6 加速するステップターン

スピードスケートにおける角度のついたアウトエッジ
から踏みながらインエッジに切り替える
スケーティングターン技法が有効です。
最大傾斜線に沿ったスケーティングのトレーニングを
繰り返します。
スタート後の加速技法のトレーニングにもなります。

3-7 HIT(High Intensity Training)

高強度トレーニング

全身運動を最大限の力で20秒間実施します。
呼吸と心拍数が落ち着くのを待ち、1日に3セット
連続して実施します。
1週間に3 日間、合計週3 分間のトレーニングです。
通常のトレーニングは筋肉の20~30%を使います。
高強度トレーニングは筋肉の70~80%を使います。
その為により多くの筋グリコーゲンの貯蔵量を
一気に減らす事がポイントです。
ブドウ糖はグリコーゲンとなって筋肉に
貯蔵されています。
エクササイズよってグリコーゲン量が減少すると、
ホメオスタシス(体内環境を一定に保つ働き)を
乱す結果血流にブドウ糖を送れという
合図になります。

効果

ジムで週2~3時間のトレーニングを実施したのと
ほぼ同じ効果が得られます。
4週間単位で効果を確認します。
インスリン感受性の向上を促します。
目標値 20%向上
有酸素能力、最大酸素摂取量の向上を促します。
目標値 10%向上 75ml/kg/min
人によって反応や効果が違います。
スーパーレスポンダー 15%
ノンレスポンダー 20%
11の遺伝子が関係しています。

注意

短い時間とはいえ非常に激しい運動の為、
持病のある方は医師への相談が必要です。

第4章 [ 道具 ]

4-1 スキー板

40年前のJan Ingemr Stenmark、現在のTed Ligety
40年前のJan Ingemr Stenmark、現在のTed Ligety

カービングターン時の雪面と
スキー板の関係
This is the great discovery of the ski technology.
Das ist die große Entdeckung der Skitechnik.
アイスバーンは圧雪の様にエッジングでは雪が
掘れません。(no carving )

実験により下記結論が得られました。
雪面とスキー板の接触角度が70°前後
では、板のたわみ度(=ターン半径)を
簡単に調節する事が出来ます。
ターン全般において雪面とスキー板の
接触角度を常に70°前後に保つ事で、
GS・R35で平均的ターン半径14mを
フルカービングターンで滑りきる事が
可能になります。

4-2 ブーツ

Ted Ligety & Marcel Hirscher
Ted Ligety & Marcel Hirscher

4-1 における接触角度を
70度に保って滑る為には
ブーツのサイドが雪面に
触れない事が重要です。

4-3 グローブ

4-1 における接触角度を70°に保って
滑る為には、内手を使った3点支持と
内傾角度の確認が必要になります。
グローブの性能
安全の為のミトン形状と衝撃吸収性、
雪面抵抗の少なさと摩擦熱により
溶けない素材、 ポールの握り安さ、
等の条件を満している事が重要です。

4-4 レーシングウエアー

フォーム作り、筋力の助け、空気抵抗減少、通気性、
ブレーキ能力、保温性、視覚的高揚感、
等の性能に優れている事が重要です。

4-5 ヘルメット、プロテクター

体をポールとアイスバーンの接触衝撃から守ります。
心を解き放つ為の重要なパーツです。

4-6 板のチューニング

4-6-1 エッジ

競技種目(スピード)、開催コース(距離)、雪面硬度(温度、湿度)、
エッジ材質(耐久性)、選手の特性
以上の要素よりエッジ角度とエッジの表面仕上げ磨き度を決定します。
競技種目の平均的ターン半径に合わせて、板をたわませながら作業します。
エッジの刃先の最終処理を革で仕上げる事で、アイスバーンを切りながら
滑らせかつ刃離れを良くする事が出来ます。

4-6-2 ソール

競技種目(スピード)、開催コース(距離)、雪面硬度(温度、湿度)、
ソール材質(耐久性)
以上の要素よりソールの粗面処理と表面フラット化率を決定します。
競技種目の平均的ターン半径に合わせて、板をたわませながら作業します。

第5章 [ 力学 ]

5-1 ターンにおける力学

2013 世界選手権GS Ted 優勝
2013 世界選手権GS Ted 優勝

5-2 雪面抵抗

5-2-1 摩擦力学

F=μN
F:摩擦力 μ:摩擦係数 N:垂直抗力
垂直抗力とは体重を含む総重量の事です。
総重量が少ない方がスキーはより滑ります。
Nは短い時間単位では、加重抜重によって
変化させる事が出来きます。
スキーを滑らせたい時は拔重すると
F:摩擦力は減少してスピードが速くなります。

5-3 空気抵抗

5-3-1 空気力学

Cd:空気抗力係数
CL:揚力係数
YM:ヨーイング モーメント係数
S:前面投影面積
4っの要素は比重とフォームによって決定されます。
比重(骨と筋肉量の多さ、体脂肪率の低さ)の高さと
空気抵抗を考慮したフォームがスピードを高めます。

5-4 慣性

現在の運動状態が保たれます。
ターンを切り替える時の慣性方向を
ポール通過ラインに合わせます。
斜度変化時の慣性の影響を考察します。
滑走スピードが速いほど慣性の影響は
多大になります。

大滝 昇 (文責)

TAKI アルペンスキーアカデミー 会長

参考リンク・文献

FIS

最新オーストリアスキー教程

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